■第２回アリーナ・指名戦開始

「トーナメント参加の内６名の強者がさらなる戦いを望みその相手を指定してくれた！
　さあ夢の対決の始まりだ！今ここに第２回アリーナinエンブリアの指名戦の開始を宣言する！」
あいかわらずコロシアムの中央で叫ぶおっさんはおいておいて。
参加者の皆様が参加してくれたおかげで指名戦を行う事が出来ました。
さあ、望みの相手との対戦結果は望みどおりとなるでしょうか？とくと御覧あれ！！！

■指名戦Ａ

『魔女の子』アレクディアス
　指名vs
『必殺！仕置き人"風羽根"のルシーダ』ルシーダ・ディラント

■試合
「クスッ……今度はこの前のようにはいかないよ。今度こそお姉さんを不死者にしてあげるよ……。」
黒いマントを翻してアレクディアスがルシーダに挑戦すれば！
「フフフ・・・懲りないのね。また優しくお仕置きしてあげるわ！」
ルシーダは赤いマントを風にはためかせながらビシッとポーズを決めてアレクディアスを向かえうつ。

試合開始と同時にアレクディアスは気配を断ち影と化してルシーダの背後に回りこもうと動きはじめる。
ルシーダは黒縁の眼鏡をゆっくり外すと、いつもは自信満々なその瞳が悪戯っ子の様にキラリと輝く。
「さあ、いくわよ！」
無造作にアレクディアスの方を見るとルシーダはそのままスタスタと普段どおりに歩いていく。
「あれ………お姉さん…？」
急にルシーダから存在感を感じなくなるアレクディアス。
まるで幻影のような感じのするルシーダはスッとアレクディアスの首筋にキスマークをつける。まるで吸血鬼の様に…。
「…大・成・功！」
ニッコリ笑うルシーダにまんまと騙されていたと気づいたアレクディアスが顔を赤くする。
「…これならどう？」
まさに瞬間技。一瞬でアレクディアスは超美男子の姿となり目の前のルシーダをやさしく腕を広げて抱擁しようとする。
「アッ、アレクディアス君、そんな姿になってもわたしの正義の心を騙せないわよ！！！」
顔を赤くして動揺しているように見えるルシーダが自慢の風羽根を放つがアレクディアスの前の地面に突き刺さってしまった。
「…もう…お前無しには生きられないんだ…」
その様子を見たアレクディアスは極上の微笑みを浮かべながらルシーダに近づこうとするが動けなくなっていた！
「ちゃんと狙いどおりよ。あなたの足元よく見て見なさい。」
外れたと思った風羽根はしっかりとアレクディアスの影を縫いとめていたのだった…。

「そんな…ぼ…くが……２度も負けるなんて……。な…なぜなの……母様…」
予想外の敗北に落ち込みつぶやき続けるアレクディアスにルシーダが近づいてくる。
「フフフフ、悪い子は本気でお仕置きよ？」

■試合結果
Ｒ１：ルシーダ・ディラント勝利
Ｒ２：ルシーダ・ディラント勝利

ルシーダ・ディラントの勝利！！！

■指名戦Ｂ

『『闇』 双刃の魔剣士』アルム・ナート
　指名ｖｓ
『問い掛ける死眼の生者』リュティア・ダルフェン

■試合
「…一度戦いたかった。たぶん、今の私では勝てる見込みは少ない…。だからこそ、戦ってみたいのだ…」
静かなる闘志を秘めてアルムはリュティアを戦いの相手に選んだ。
「おねがいしますなの」
アルムの気合を感じているはずだが何の気負いや感情を感じさせる事なくリュティアは頭を下げた…。

試合開始…アルムはまずはリュティアの出方を見ようと守りの姿勢を取る。
対するリュティアも右手に持つ長剣をだらりと下ろしたまま構えを取らない…。
「……くるか…」
アルムの呟きと共にリュティアの周りをゆっくりを風がまわり始めその姿がユラリと揺れたように見えた時、
体から沸き上がるように大きな炎が立ち上り風を巻き込みつつ大きくなりながらアルムに襲いかかる！
「…さすがだな…ならば…こうするまでだ！」
だがアルムはその炎に向かって一気に接近しながら二振りの刀を抜きさり炎を十字に切り裂く！
大部分の炎を散らしたが多少の傷を受けて炎を突破したアルムをリュティアは待ち構えていた。
軽快なフットワークで繰り出される長剣をアルムも風に揺れる羽毛のような動きで避けていく。
しばらく続くかと思われた攻撃はリュティアが先に苛だったのか大振りの攻撃に変わった。
（チャンスだな…）
だが大振りの一撃は恐ろしい剣速で真空の刃を生み出してアルムの体を切り裂き血に染める！！！
最後の一撃…リュティアの剣がアルムに向けまっすぐ突き出された！
「フン…まだだ！　これを、受けてみるがいいっ！！」
しかし流れ出る血にもかまわずにアルムは最後まで全力を出し切るべく残った力で神速の剣技
「星嵐剣（スター・ストリーム）」でリュティアを向かえうつのだった…。

「…勝てるとは思っていなかった…。リュティアとは、また戦ってみたい。」
最後の瞬間リュティアを銀の嵐で斬り伏せたアルムが真面目に言う。
「アルム様はリュティアより強いの。戦ってくれて、ありがとうなの。」
高い耐性のせいかダメージを感じさせない口調でお礼をいうリュティアだった。

■試合結果
Ｒ１：アルム・ナート辛勝
Ｒ２：リュティア・ダルフェン圧勝
Ｒ３：アルム・ナート圧勝

アルム・ナート、勝利！！！

■指名戦Ｃ

『順風の王狼』ネストリア
　指名ｖｓ
『ア―サ―「ラヴラヴ四天王」』シギュン・シルフィード

■試合
「パアム、勝負がしてみたいな。前回優勝した君の技とね。」
今回のトーナメントでは奇しくも対戦できなかったパアムをネストリアは呼びだす。
「ネストリアさん…ボクなんかでいいのカナ？」
テレながら闘技場へ歩みでるパアム。歩きながらゆっくりと顔が引き締まっていく。

「ボクのこの魔法！ネストリアサンなら破れるカナ？」
２つ名のごとく風を纏うパアム。激しく荒狂う嵐は地面の小石を吹き飛ばし、ネストリアの頬にキズをつける。
「………、……………………」
羽織る麻色のマントがバタバタと激しい音を立ててネストリアの声はパアムに届かなかった。
ネストリアは軽やかな足取りでパアムの纏う竜巻まで来るとあたかも竜巻を斬るがごとく剣を振るう。
ヒュン。軽い音と共にネストリアの刃が通り過ぎるとパアムの竜巻に一瞬切れ目が入った。
次の瞬間ネストリアの体は竜巻の切れ目をすり抜けてパアムの前に現れる。
「うわぁ！」
パアムは慌てて背中のバスタードソードに手をやるがネストリアはその柄を剣で叩き抜かせない！
しかしそのまま追撃を繰り出す事なくフッと下がるネストリア。
そして下がりながらネストリアの手は腰の袋からとりだした灰を固まりを風に乗せて撒いていた。
灰はぶわっとパアムの風に巻き込まれてパアムの視界を奪い去る。
「くっ…ネストリアさんは…どこカナ…？」
目に入った灰を慌ててぬぐったが灰と取り込んだ竜巻ごしにはネストリアの姿を見つける事が出来ない。
ゆっくりとバスタードソードを握り、風を解除した瞬間に勝負をかけようと考えるパアム。
だが…その首筋にスっと背後から剣の刃が差し当てられた…。

「ネストリアサン、強いね〜。…ホントだよっ！…ボクも明日からまたガンバロウ！」
パアムは負けはしたが全力を出してすっきりしたような顔をネストリアを称える。
「パアム、君の魔法も十分強かったよ。また勝負をしたいな。」

■試合結果
Ｒ１：ネストリア勝利
Ｒ２：ネストリア圧勝

ネストリア、勝利！！！

■指名戦Ｄ

『ア―サ―「ラヴラヴ四天王」』シギュン・シルフィ―ド
　指名ｖｓ
『順風の王狼』ネストリア

■試合
「ネストリアさんが強いって噂を聞いたから一つ手合わせしたくなったの。」
シギュンは愛刀『飛天刀・神威』をスラリと抜いてネストリアに向ける。
「充実した試合になるよう、こちらも努力するよ。」
ネストリアもシギュンに応えて愛剣『神室』を構える。

「まずは貴女の方から来ると良い……。」
穏やかに見えるネストリアが剣を少しさげてシギュンを誘う。
シギュンはネストリアの剣先を見切ろうと軽く打ち込みをかけるが隙を見出す事が出来ない。
気がつけばシギュンはまるでネストリアと剣舞を舞っているかのようになっていた。
「…貴女もしてるんだ、バンダナ。かっこいいな、その色も。」
ネストリアはシギュンが一旦距離をおき息を整えるのを見て落ち着いた様子で声をかける。
（う〜ん……このままじゃ……だったら……）
シギュンが集中すると、瞬時にシギュンの周囲に十の火炎球が燃え上がる！
しかしそのほんの一瞬にネストリアの姿はシギュンの視界から消えていた。
「………そこよっ！　はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！」
注意深く周囲を警戒していたシギュンは一気に火炎球を異なる速度と角度から一点に撃ちこむ！！！
ズドドドォォォン！！！
絡み合い一つの生物のようになった炎が激しく吹き荒れて気配を隠していたネストリアを焼いていく…。
だがネストリアは多少のダメージも気にせずに術の集中を続け、ゆっくりとシギュンに向かって歩き出す。
しばらくしてシギュンは目の前で剣を突きつけていたネストリアの姿に気づくのだった…。

「やっぱり…ウワサどおりに強かったね。でも次はぜ〜〜〜〜〜〜ったい勝つからね！！」
ネストリアを強敵に認めたシギュンが燃え上がるのを見ながらネストリアはある事を思いだした。
「…っとこの間は知り合いの少年がお世話になったよ。彼、あの後「完敗でした」と報告してきたわりに、
　明るくてね。きっと良い対戦者に巡り逢えたのだなと思っていたのだけれども……それは本当だったようだ。」

■試合結果
Ｒ１：ネストリア圧勝
Ｒ２：ネストリア辛勝

ネストリア、勝利！！！

■指名戦Ｅ

『灼熱の王狼』ヒューガ・マクラッシュ
　指名ｖｓ
『順風の王狼』ネストリア

■試合
「久しぶりじゃねぇか、ネストリア。王狼同士で戦うってのもいいだろ？」
気合十分で楽しそうに笑うヒューガ。
「……おや？　一年前より、表情に余裕が出てきているな。何か…見つけたのかな？」
ネストリアもヒューガが前会った時以上に男の顔になっているのを見て嬉しそうに笑う。

ギィン！　試合開始直後、ネストリアとヒューガの剣が組み合い鍔迫り合いになる。
「勝負は……結果は見えているだろう？　君の勝ちは揺るがないはずだよ。」
力が拮抗しているらしくお互いに筋肉が盛り上がっていくが剣はどちら側にも傾かない。
「……君が戦いに集中できていればの話だけどね。」
ネストリアが絶妙のタイミングで剣を引きヒューガの体勢が崩れる。
ヒュン、ヒュン、ヒュン、風切り音と共にネストリアの剣がヒューガを軽く切り刻む。
それも一瞬の事で防御を立て直すヒューガだったが、その視界からネストリアは消え去っていた。
「ちっ…、だがそろそろ本気でいくぜっ！　うぉぉぉぉぉぉぉぉ！！！！！」
ヒューガの気迫によって起こされた風が周囲に広がっていくと…一個所だけ風がうねる場所があった。
「そこだぁぁぁ！！！」
四肢に炎のような気迫を込めてヒューガが突進し、宙を掴んでそのまま乱打！乱打！！乱打！！！乱打！！！！
始めは何もない空間に繰り出されていたヒューガの拳はいつのまにか姿をみせたネストリアを捉えていた。
ネストリアは防御に徹するがあまりの攻撃の激しさに攻撃を払うだけでもダメージが蓄積していく。
いつまでも続くかの様に思われたヒューガの攻撃は…渾身の拳撃でネストリアを吹き飛ばして終わった。
「ハァ…、ハァ…、どうだ？…俺の本気は………」
陽炎が揺らめく中、極限まで力を出し尽くしたヒューガが立ち尽くす。
もはや一歩も動けそうにないヒューガに対してネストリアはゆっくりを起き上がり剣を構えるだった…。

「ちぇっ、さすがに強いじゃねぇか。俺の本気をうけて立ち上がるとはなぁ、結構自信あったんだぜ？」
傷だらけながらも落ち着いた様子のネストリアを闘技場に転がったヒューガが疲労した体を伸ばしながら見る。
「…まったく凄い攻撃だったよ。ヒューガは確実に君の王狼道を進んでいるんだな。」

■試合結果
Ｒ１：ネストリア圧勝
Ｒ２：ヒューガ・マクラッシュ圧勝
Ｒ３：ネストリア勝利

ネストリア、勝利！！！

■指名戦Ｆ

『忠君の獣戦士/盤石の王狼』フレキ・アスガルド
　指名ｖｓ
『順風の王狼』ネストリア

■試合
「ネストリア、君も王狼を名乗る者だったんだな。それに武闘大会での強さをウワサで聞いたぞ。」
ドンとハルバードを地面に立ててフレキはネストリアを戦いの相手に選ぶ。
「君の勇名もよく耳にするよ、アスガルド。私も胸を借りるつもりで全力でいくから……油断するなよ！」
ネストリアも気合を入れて闘技場に歩みでる。

我が生まれたるは地狼の氏族アスガルド。我が父はフェムダル、我が母はフレア。誇り高き血と、アスガルドの名にかけて、この戦いに全力を尽くすことを誓おう」
フレキの堂々とした名乗りが闘場に響き渡った後、出だしはネストリアが軽快なリズムで攻めたて続けた。
最小の動きで防御を続けるフレキはネストリアの様子をじっくりと観察していたが…、
ガッ！！！…重厚なハーフプレートがネストリアの繰り出す『神室』と金属音を奏でる。
そして大きなダメージこそ受けていないが少しずつフレキのハーフプレートが削られていく。
「…そろそろ全力を出してくれないか？」
一旦攻撃の手を止めたネストリアの声に今まで静であったフレキの動きが激動へと変化する。
唸り声を上げて変幻自在に打ち込まれるハルバードを体捌きでかわし続けるネストリア。
そしてフレキの攻勢の勢いをくじくために小道具の灰をフレキ目掛けて目くらましに使う！
………ドンッ！！！しかしフレキは視界を覆う灰に戸惑うどころかそのまま灰を突っ切り、
その向こうで気配を隠そうと集中しかけていたネストリアを掴むと一気に地面に叩きつける！！！
「…まだまだ大丈夫なのだろう？」
しっかりと受け身を取っていたネストリアを見逃さなかったフレキが武器を身構えるとネストリアも立ち上がる。
だがそのまま構えずに目を閉じてしまうネストリア。しかしその姿からなにかしらプレッシャーを感じるフレキ。
「…これで最後にしよう。」
雄たけびを上げて突進するフレキの一撃！応じてネストリアの体からわずかに青き炎のようなオーラが生まれる！
ゴォゥ！唸りをあげた一撃がネストリアの数ミリ直前を流れ地面に当たると同時にドンッ！と穴をうがつ…、
フレキがニ撃目を繰り出そうとする前にネストリアは剣を地面に刺して手を離すのだった…。

「今日はウワサに違わぬ君の強さと闘う事が出来て良かったぞ！…そして君の内に秘めし狼を垣間見た事もだ。」
「さすがはアスガルド氏族の勇者だな。私も君と闘えてうれしいかったよ。アスガルド…。」

■試合結果
Ｒ１：ネストリア圧勝
Ｒ２：フレキ・アスガルド勝利
Ｒ３：フレキ・アスガルド圧勝

フレキ・アスガルド、勝利！！！

■第２回アリーナ・指名戦終幕

「参加者の皆様は望みの相手と闘ってどうでしたでしょうか？その目的を果たしたり闘いから何かを掴む事が出来たでしょうか？
それではこの辺で第２回アリーナｉｎエンブリアの追加イベント「指名戦」を終了させて頂きます。」

闘いを望み熱い闘いを繰り広げた参加者におしみない拍手が送られる中、全イベントが終幕したのだった。

＜終わり＞

■管理人より…

指名戦に参加して頂いた皆様本当にありがとうございました！！！

まずはまたまた大変お待たせしたことをお詫び申し上げます。なんかもう全然書けなくなってしまって…。

さてＨＰの３０００ヒット特別企画「第２回アリーナinエンブリア」の特別企画「指名戦」どうでしたでしょうか？
もう遅すぎでどうでもいいやって思われてるような気もしますが…すこしでも楽しんで頂けたなら幸いです。

ここまで読んでくれた優しい皆様。ヒマがあったりしたら感想やご意見など掲示板などに書いていただけたらうれしいかぎりです。
それではこの辺で失礼します。ホントにありがとうございました。

Ｐ．Ｓ．ＭＲＺさん、伊織さん、色々とお願いを聞いていただきありがとうございました。