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■２５８３年４月 自由都市トルロー
「きゃっ」
暗い部屋の中アクアリィが軽く声を上げる。振り払った姿勢で固まるシャールカーン。
「すまない…」
じっと何かに耐えるように体を強張らせている男の背中にアクアリィはゆっくりと近づいた。
「ごめんなさい…。あたしはなんの役にも立てなかったわ…。」
シャールカーンは背中にゆっくりと覆い被さってくるすこし冷たくてやわらかな感覚に身を委ねて
自分の中に荒れ狂うモノをゆっくりと静めていく。
「…いや、助かった。」
肩にかかる腕に手を当ててゆっくりと外すとシャールカーンがアクアリィに向き合う。
「やつらが今の俺を認めないと言うなら別の手を考えるまでだ。」
その瞳はドス黒く恨みに染まったもので無く、いつものように己の野心への強い意思を漲らせている。
「そうね…。トルローは領主も置かない完全に市民で運営する都市って感じで
アーサー達は考えているみたいね。
まずは何かの実績をあげてトルローの１勢力として認められる事が第一かしら？」
アクアリィがすこし考えてから言うとシャールカーンも一瞬考えてから答える。
「そうだな。バルバロッサ派の闇社会の連中はまだナヴァール達に付いた訳じゃないだろう？
やつらを取り込むのもいいかもしれないな。」
再びすこしの間黙り込んだがアクアリィが顔を上げる。
「来月にはクラウザー艦隊がトルローに来るわ。シュレイム艦隊は首都攻略でいないから…。
その時に何か成果をあげる事が出来れば…。」
「そうか俺の物になる街だ。守らないとだめだな。」
不敵に笑うシャールカーンを頼もしげに見つめるアクアリィ。
「…あたしは残念だけど今のところ手伝えるか分からないわ。ソル・レオンも狙われているみたいだし…。」
「心配するなアクア、俺は大丈夫だ。」
ぐっと引き寄せてベットに押し倒し上に乗りかかった姿勢でシャールカーンがアクアリィにキスをする。
離れた顔を今度はアクアリィが首に抱きつくようにしてもう一度キスをする。
「…そうね。信じさせて頂戴？」
シャールカーンはその言葉にアクアリィに覆い被さっていった…。
■キャスティングリスト
シャールカーン 男／３１歳／獣人／１９０cm／１００kg
手にしたはずのトルロー領主の座が領民に認められないという屈辱のへの
怒りをバネに次の手を打とうとする「野心家」。
アクアリィ・トゥデス 女／２７歳／半吸血鬼／１６６cm／４２kg
名実共に魔道船「ソル・レオン」を手にした「魔女」。
最近はシャールカーンに入れ込んでいるらしい。