AFFIXTUER
■２５８３年４月 自由都市トルロー
「…−サー様、アーサー様、起きるのだ」
アーサー・シュレイムは呼びかける声にゆっくりと眠りから覚めていく。
今日はマクラがやわらかくていい気持ちなのだが声は執拗にアーサーを呼びおこす。
「もう少し寝かせてくれ…」
マクラを腕で抱きかかえて呟くアーサー、なにか今日のマクラは絶妙の弾力のいい感じだ。
「うーん、今日はマクラがいいな」
夢ごこちでマクラに顔をうずめて堪能する我らの英雄アーサー。
ヒュ〜〜〜。
潮風の香りがアーサーの鼻腔をくすぐる。
ガヤガヤガヤガヤ。
「んっ？今日は賑やかだな…」
いつもの部屋とは違いうるさいくらいにまわりから聞こえてくる声にアーサーはついに目を開ける。
最初に目に入ったのはピンク色のフリルのついたマクラカバー…、
ふと目を横に向ければその向こうには壮大な水平線を映し出すトルロー港。
「……………………ん？？？」
えーと昨日は確か…いつもどおり炎剣技の特訓とか出撃準備の仕事をして普通に寝たよな…？
まだぼやけている意識でアーサーは状況を把握できない。
「アーサー様、やっと起きたのだ」
頭の上でする女の子の声にアーサーが頭を振り向かせるとマクラカバーが壁を伝って上に伸びていた。
その先には女の子の顔がある…
「………うわっ！」
どうやらピンクのマクラカバーは女の子のスカートで気持ちいいマクラはヒザマクラだったらしい。
そのことに気付いたアーサーは跳ね起きた。
「君は一体？…俺はなんでこんなところで寝てたんだ？」
周りはまだ薄暗いままのトルローの港、早朝から漁にでる猟師たちがガヤガヤと準備している。
「アーサー様、あれを見るのだ」
淡いピンクで統一した上品で可愛らしい服を来た少女が指を差す方向にはちょうど海から顔を出し始めた
まぶしい太陽があった。
「いい景色だな…」
目を細めながらアーサーも雄大な朝日をしばらく眺める。
いつの間にか少女はアーサーの隣に立ち一緒に朝日を見つめていた。
・・・
「それで君は一体だれなんだ？俺がこんなところでなぜ寝ていたのか知っているのか？」
しばらくしてから少女に対して向き直るアーサー。
「アーサー様もう忘れてしまったのか？オレ様はブリューナ・アルフェルムなのだ。」
アーサーはじっと少女を見直す…
「…いや全然いつもと服が違うから分からなかった…」
「今日のために用意してきたのだ」
すこしだけ服を見せるように体を動かすブリューナ。
そう、いつも黒づくめでズボンのブリューナからは想像がつかない変わりようだった。
いつもの格好なら男の子と言われても気がつかない者もいるだろうが今の服装はどこから見ても女の子にしか見えない。
それもそれなりにかわいい女の子として…。
「そうかブリューナだったのか…、それでなんで俺はここで寝てたんだ？」
膝枕されてた相手が見知らぬ人で無かったのに少し安心して焦りと緊張がアーサーの顔から取れてくる。
「朝日を一緒に見たくてオレ様が連れてきたのだ。」
どういう意味があるのかとアーサーは首をかしげる。
「朝日を見てもりあがったところで今日はオレ様とデートして欲しいのだ。」
まだ状況についてきてないアーサーにブリューナが言い放つ。
「なっ、なんで俺がおまえとデートするんだ？それに俺は炎剣技の修行や出撃準備で忙しいんだぞ。」
焦るアーサーにポシュットから出した手紙を差し出すブリューナ。
怪訝な顔をしながらもアーサーは手紙を受け取り裏返す。
『アレックス＆フィーナ』
差出人にはそう書かれている。
『アーサーへ
ブリューナはお前の船作るのにずっと今まで働きづめだ。すこしは気晴らしに付き合ってやれ。
とりあえず仕事は俺がやっておいてやるからお前も楽しんでこい。 アレックス』
『アーサーさんへ
アーサーさんも頑張って幸せになって下さいね。 フィーナ・レントス』
がっくりとうな垂れるアーサー。その様子をじっと見つめるブリューナ。
「アーサー様はオレ様なんかとではイヤでデートは出来ないって言うのか？」
すこし涙目になりながら見上げるブリューナにアーサーはのどまで出かかった「帰る」の一言が言えなくなった…。
・・・
「次はあの店なのだ！」
ブリューナに引っ張られていくアーサーも悪い気はしていなかった。
普段の威張った態度と違い小さい外見にあう子供らしさで楽しんでいるブリューナを見てるとこっちまで楽しくなる。
そうこうしている間に昼になりレストランに入る二人。
午前中でどこが楽しかったのかとかを話合う二人ははたから見ると仲のよい恋人というより兄妹だろうか。
「…そろそろ帰らないか？」
会話が一段落した時にアーサーが切り出した。
「アーサー様はそんなに帰りたいのか？」
とたんに笑っていたブリューナが一転して悲しげに沈んだ顔でアーサーを見る。
ここでくじけては何時までも帰れない！
そう悟ったアーサーはくじけそうになる精神を奮い立たせて頷く。
しかしジワジワとブリューナの目じりに涙が浮かんでいくに従ってアーサーの決意もあっさり萎んでいく。
だがブリューナは袖でごしごし目元を拭くとすこし赤くなった目でアーサーを見た。
「判ったのだ…。でも最後にとっておきの場所に行きたいのだ。アーサー様も一緒に来て欲しいのだ。」
もう少しでまだ帰らないと言ってしまいそうだったアーサーはブリューナの一言に救われたと笑顔を浮かべる。
「そうか、最後ならあと一軒ぐらい一緒に行ってやるぞ。」
息を吹き返したアーサーはすぐに最後のとっておきにつきあってやる事に決めるのだった。
・・・
アーサー・シュレイムは先ほどの決断を心底悔やみながら人生最大のピンチに立たされていた。
目の前にはしゃくりあげながら泣く女の子。周りからはあんな小さな子を泣かせてなどという冷たい視線。
この場から走って逃げたい衝動がアーサーを激しく襲う。
だがしかしアーサーには泣いてる女の子を見捨てて逃げ出すなどは考えられない。
とりあえずこの場から連れ出したいのだがそうするとよけいに泣き出す。
そして泣かしたままで一緒に帰ることが出来ないことをアーサーは直感的に悟っていた。
万が一にもそんなことになればあいつらが一体どんな事を言い出すか…。
エストーラ最高の提督はその頭脳をフルに活用してこのピンチを抜け出す作戦を探しだそうとしていた。
「…分かった。一緒に入ってやるから泣き止んでくれ…」
アーサーの頭脳はここは一端折れて後で懐柔する策をもっとも無難として選び出した。
だがアーサーはなにか抜け出せない罠に既にかかっているのではいう不安をヒシヒシと感じていた。
・・・
「おっ俺はもう…逃げれないのか…？」
アーサーは引きつった顔で目の前で泣くブリューナを見つめる。
とっておきの場所「ホテル」に入り、部屋で色々と懐柔を続けるだがアーサーがもっとも恐れていた事態。
またしてもブリューナがアーサーが『しない』理由が自分にあるのか？と自己嫌悪して泣き出したのだ。
さすがにするわけにはいかずにアーサーは色々とブリューナをなだめようと話し掛けるが、
その度に最後にはオレ様が悪いからアーサー様はしたくないんだと泣き続ける。
アーサーはこの事態にあたってある事を痛感していた…「女は怖い」…と。
しゃべり続けてつかれたアーサーは部屋のテーブルにおいてあったビンを開けてみる。
「すこし甘ったるいがジュースだな」
味見してからグラスをだして乾いたのどを癒すためにぐっと飲み干すアーサー。
それからブリューナにもまあ落ち着くんだとグラスを渡す。
ブリューナは泣きながらも両手でグラスをもってコクコクと飲み干した。
そして少しは落ち着いたのかそのままベッドにちょこんと腰掛けてうつむいてじっとしている。
アーサーもかける言葉が見つからないままベッドに並んで座って黙り込む。
二人はしばらく無言のままじっとしていた…。
「この部屋は暑いな…」
先ほどから妙に体が熱くボーとしてきたアーサーが襟元を開けながら呟きテーブルのジュースをもう一杯飲み干す。
だが体の熱は上がる一方でますますヒートアップしていくようだった。
「なぁ、もう帰らないか？」
アーサーは体調が悪いなら早く帰ろうと思いブリューナを見る。
「………」
ブリューナも暑いのか顔が赤くなって目のトロンとしている。
だがそんな事よりいつのまにやらワンピースを上半身はだけていた事にアーサーは心臓がズクリと疼く。
ピンクのレースついたワンピースに合わせたのか、同じような上品な下着は小さな胸を包み呼吸のたびに上下に揺れる。
アーサーは急速に思考回路を奪われていきその動きに見せられたかのようにボーと見つづけた。
「アーサー様…」
ブリューナも同じような状態らしく力が入らないのかゆっくりと体をくずしてアーサーに寄りかかる。
「アーサーさ…」
ブリューナの体のやわらかさにアーサーの意識は集中する。
「アーサー…」
体勢を崩してアーサーの膝の上に倒れ込む形になったブリューナ目の前にある固いものに最初を目的を思い出す。
「して欲しいのだ…」
やわやわと固いものを刺激してくるブリューナを押しどけるだけの知性はもうアーサーにはなかった。
そうテーブルにおいてあったのはジュースではなく恋人がよりいっそう燃えるための液体だったのだ…。
そんなモノは初めて飲む二人がその効果に屈服するのにそうたいした時間はかからなかった。
アーサーはただやわらかい感触に触れたい…そんな気持ちからブリューナの体に手を伸ばした…。
・・・
「…う〜ん、ん？ここはドコだ？」
アーサーは目覚めた時に見知らぬ部屋にいることに戸惑いを感じた。
だがすぐにブリューナに泣かれて来た部屋であったことを思い出す。
気が付けばブリューナはすぐ横でうつぶせに寝ている。
見ればもう夕暮れまで日が落ちているようだ。
「なんだ。寝てしまったのか…」
よく覚えていないがどうやらこの部屋にきて、疲れが出たのか？すぐに寝てしまったようだった。
スースーと穏やかな寝息を立てるブリューナの横顔を見て起こしたらまた迫られるのではないかと思いつき苦笑すると
そのまま抱きかかえて帰ろうとする。
「あっ…そういえば暑かったんだな…」
表にむけたブリューナのワンピースの上のボタンが外れていてひっくりかえした拍子にチラリと小さな双丘を見えた。
アーサーはゆっくりと出来るだけ見ないようにボタンを止めていく。
「ふぅ、こんなカッコで帰ったらあいつらが何て言うか分かったもんじゃないからな。」
ボタンをとめてブリューナの服装をチェックすると抱きかかえてホテルを出て百花繚乱に戻るのだった。
・・・
夜、自分の部屋で寝ているブリューナがアーサーを問い詰めるラブラブ四天王の声に目覚める。
「…アーサー様？」
部屋を見回しアーサーがいないこと自分の部屋であることを確認したブリューナはゆっくりとベットから起き上がる。
「ん…？下着が無いのだ？」
と思ったら下の下着は片足に引っかかっていた。
よく覚えていないが感触からどうやら子作りはちゃんとやったようだった。
「今日はちゃんと計算して危険日とやらの子作り確実な日だったし成功間違いないのだ」
２つの命令、ソル・レオン修理と子作りがやっと終わったと思って肩の荷が下ろせたとブリューナは息をつく。
「しかし今日のデートとやらは本当に面白かったのだ…」
ブリューナは今まで普通の女の子として遊んだ事が無かったのでアーサーとのデートは新鮮で非常に楽しくで印象に残った。
そしてデートを思い出してひたっていると何故か心臓がドキドキしてきて顔がカーと熱くなる。
「一体どうしたというのだ？」
自分の体をよく分からなくなったブリューナは悩んだがどうも分からない。
冷静に判断してみると…どうもアーサーの顔を思いうかべると症状が出るようだった…。
「これはオレ様の辞書には載っていな奇病のようなのだ。やはり医者に行くしかないか…。」
即断即決のブリューナは早速出かける事にする。だがちょうど扉を出たところで少女とぶつかった。
「あっ、ブリューナさん。」
アレックスと上手くいってるのか幸せ一杯と言った笑顔のフィーナ・レントスだ。
「フィーナか…そうだアレックスとフィーナの手紙は役に立ったのだ。ありがとうなのだ。」
よかったと笑顔で応えるフィーナが出かける様子なのでブリューナにこんな夜更けにどこへと訊ねる。
「どうもアーサー様の顔を思い浮かべると顔が熱くなって心臓がドキドキするのだ。」
よく分からないといった顔のフィーナにブリューナが気づく。
「そういう病状の奇病にかかったらしいので医者に行くのだ。」
ブリューナの言ってる奇病がなんなのかすぐにフィーナには分かった。
フィーナもアレックスのことを思うと同じ病状になるから…。
「ふふっブリューナさん。それは病気じゃないんです。それは…」
アーサーの事を考えたのか顔を赤らめているブリューナを見ながら自分も周りからみたらこんな感じかしらと
微笑みをこぼし、フィーナはその病状がなんなのかゆっくり説明してあげるのだった。
・・・
フィーナと別れて部屋に戻ったブリューナはベットにうつぶせに身を投げ出す。
…アーサーのことを思うと心臓がドキドキする。なにか胸のあたりがギュッと苦しい気分。
「これが恋というやつなのか…。初めてだから初恋っていうやつなのだ…。」
人を好きになる。愛する。そんな事は自分には関係ないことばかりだと思っていた。
だけど実際に自分でしてみるとイヤな気分じゃない。なんとなく嬉しくて嬉しくてしかた無い気がする。
「…アーサー様に会って確かめるのだ…」
なんとなくアーサーに会うのも嬉しいような何か恥かしいような複雑な気分で部屋を出る。
だが途中でアーサー・ラブラブ四天王に捕まるブリューナ。
今日の事を問い詰められたので話そうと思ってアーサーの事を考えたとたんカーと顔が熱くなる。
そのままアーサーとのデートを思い出すとボーとして恥かしくて声が出なくなってしまう。
四天王はブリューナのその様子を見るとラチがあかないと思ったのかアーサーの部屋に向かってしまった。
「どうやらアーサー様に会うまでもないようなのだ…」
ブリューナは自分の気持ちを認めると部屋で楽しかったデートを思い出しながら幸せそうに眠るのだった…。
＜おわり＞
■妄想を送った時のマスターへの私信
さて前回同様、子作りの結果が分からない描写しかありませんでしたのでこんな感じかと書きましたが如何でしょうか？
さて今回もダメならコメントに却下！と一言いれて頂きたいと思いますが書いてない時は前回同様ＯＫですよね？（笑）
このプラリアはブリューナの第７回アクションの下地になる第６回の行動の成否のために作りました。
子作りは完了という事でこれからはラブラブでいきたいと思っております（笑）
さてそれではコメントに却下とかかれない事を祈っております。
下記はプラリアの内容に至った経緯のポイントです。
・「なにも『されて』ない」：
心引かれる女性がいれば素直なアーサーでもさすがに男が『された』とは言えないですよねぇ（笑）
それに『してない』とも『させられてない』とも言ってませんよね？（笑）
・「女は怖い」：
これはもう逃げようとすると泣くブリューナに、逃げるに逃げれない状態にどっぷりはまったからでしょうね？（笑）
そして前回アクションではブリューナは子作りするまでアーサーが逃げれば泣くはずですよね？（笑）
・問い詰められても顔を赤らめるだけのブリューナ：
前回アクションでは『デートがうまくいき楽しかったら初恋が芽生えて顔を赤くしたり…』としてましたよね（笑）
つまりはデートは最低でもうまく実行されたハズです（笑）
・アーサーが一時行方不明：
一日でないことからデート＋子作りが１日モードではなかったと考えます。