「クロス・ジェイド」２１Ｂ最終コメント集（順不同） ver:2004/8/6
※情報提供して下さった皆さん、ありがとうございました！
●ミニノベル――その後／聖暦5??年 （タイトルは全員同じです）
ナナミ・フォークトゥーン
ラテル・ウェムリィ
アートリア・グラムハート
アロンゾ・サベドラ
アーレイ・シンプソン
シルヴィ・クレスト
アサーディン
パール・ハニエル
シトメツ・ツヴァイ
ミラ・ラグナロフ
ソルト
クルル
シリウス・ビュー
アウグニアス・バルバリット
リコル・ウェムリィ
ジュディスレディ
□□□ ナナミ・フォークトゥーン □□□
「ナナミん。自爆はないよ。心配したよ」
ジュディスは寝台から身体を起したナナミを抱きしめながらたしなめた。
「あっはははー。心配ないない！ こうして生きてるんだから！」
ポカ。ジュディスはナナミの頭を軽くぶった。ナナミはまったく不快に思わず、
「な、なにすんだよー？」
「心配させた罰です……もう、誰も、犠牲になんてなってほしくないんだから……」
「そう……だね。ごめんごめん」
――――♪ 医療班の天幕の外から、歌が聴こえてくる。悲しくも、やさしい歌だ。
「あれは？」
「ラテルちゃんだね。出陣の前にいってた。戦いが終わったら……みんなに、追悼歌を贈るんだって」
「……追悼歌」
「そうだ！ 私も歌わなきゃ♪ ジュディちゃんもいこ！ ほら！」
「あ、あわわわわ〜」
「ほら！ 歌おう！ 今は歌おうよ！ みんなを送ってあげよう!! ね？」
□□□ ラテル・ウェムリィ □□□
アートリアが追悼の歌の伴奏を引き受けてくれた。そして、ラテルが歌い始めると、ナナミやジュディスまでもが集まって、一緒に歌ってくれたのだった。
「ラテルさんは…これから？」
「えっと、一度グランダへに戻ろうかと思ってるけど…」
「あ、ラテルさんは、グランダが故郷でしたっけ。そうですね、それがいいです」
「あなたはグランダから離れないの？」
「…まだ考えていませんけど。でも、結局私この辺りのことしかわからないし…拠点にするならこの辺かなぁ」
「拠点？」
「私、聖女騎士団からは、離れるつもりなんだ…けど、結局、今までと同じことしていくつもりなの」
ジュディスはしっかりとした目で、どこか遠くを見つめていた。
「…その時は、お手伝いしますね！」
ラテルは笑いながらそう言った。
「ええ、その時はよろしくお願いします」
□□□ アートリア・グラムハート □□□
ラテルの追悼歌の伴奏を引き受け、アートリアは陣営の端で弦をつま弾いていた。
「こんばんわ、アートリアさん」
ナナミに引きつられてやってきたジュディスが、アートリアの隣に座った。
「ジュディスも歌うといいですわ。こんな時は、歌うのが一番いいでしょう」
伴奏を続けながらアートリアはいった。
「ええ……アートリアさんは、これからどうするんですか？」
「改革を終えた正教会から、辞令が来ましたから、もどろうかと考えていますわ。あなたは、正教会から離れるんですって？」
「……私の戦う理由は、正教会に依存しなくても成り立つ……そう、思って……」
「……これからも、あなたが戦うのなら、手伝うのにやぶさかではないですわ」
「ありがとう。でも、自分の道は自分で決めましょう。私も、そうしますから……」
「そうですわね。まぁ、今は歌いましょう。ジュディス、あなたの歌も聞きたいわ」
「あ、あの、音痴ですけど……あの！」
ジュディスに応え、大きく弦を弾いた。
□□□ アロンゾ・サベドラ □□□
ラテル・ウェムリィの唄う鎮魂歌が、ついさっきまで戦場だった平原に響いている。ジュディスは夜闇の草原を見つめていた。アロンゾはそんな彼女に声をかけた。
「聖……あ、いや、ジュディス様」
ジュディスは、聖女と呼ばれることを快く思わないようだ。アロンゾは彼女の気持ちを察して、いい直した。
「なにを考えておいででしたか？」
「……これからのことを。アロンゾさんは、これから、どうするんですか？」
アロンゾは体制を一新した正教会から、軍に戻らないかと声をかけられていた。
「ジュディス様は、いかように？」
「……教会には戻れません。だけど、この世界にはどこかにまだ、危険にさらされている人たちがいます」
「……」
「だから、私はまだ、戦いつづける……」
「できるなら、それがしもお供いたしたく存じますが……お許し頂けますか？」
「……ゆっくり、考えましょう。ね？」
「……御意のままに」
□□□ アーレイ・シンプソン □□□
戻ってきた。聖都の郊外、自分の家へ。自分の教会へ。体制改革の行なわれた正教会から正式に辞令が下り、アーレイ神父は元いた場所に戻ることができた。
「よかったですね、アーレイおじさま」
祝いにと駆けつけてくれたジュディスは満面の笑顔でそういった。
「……ここに、その……」
ジュディスは、その言葉を口にしていいのか迷っているようだった。
「いますよ、彼女は、ずっとここに」
神父はジュディスを促して裏庭へ出た。『彼女』とは、無論、ケイトリンのことだ。誰とも無く、ここに作ることが提案され、神父は快諾した。ケイトリンの墓所だ。
「しんぷさま〜、い〜ますか〜」
表から子供たちに呼ばれ、神父はジュディスをそこに残して応対に出ていった。
出ると、怪我をした子供たちが集まっていた。神父は笑いながら、治療を施した。
「おじさま」
「ジュディス……もう、いいのですか？」
「えぇ。また、ここに来ます」
□□□ シルヴィ・クレスト □□□
たまにはボーっと、なにも考えず、なにも思わずに過ごすのもいい。そういわれてジュディスは、その日をボーっと過ごしてみることにした。草原へ出て、昼寝でもしようかと思ったら、そこには先客がいた。
「おりょ、ジュディスちゃん、こんち〜」
ボーっと過ごすのもいい、と教えてくれた張本人、シルヴィだ。ジュディスは『出たとこ勝負☆』が信条というわりに、有言実行な彼女を見て、おかしくなって笑った。
「おいおい。人の顔見るなり笑う？」
「あ、はは。ごめんなさい。隣、いい？」
ジュディスはシルヴィの隣に腰掛け、草原を見つめた。少し前、聖女騎士団の最後の戦いがあった場所だ。
「シルヴィさん、これからどうするの？」
「決めてない」
即答だ。彼女らしいな、と、ジュディスはまた笑った。シルヴィも笑う。
「あなたは？ ここを抜けるって？」
「ええ、でも。人々を苦しめる事件や脅威はなくならないと思うから……」
「そう。ん〜あたしはどうしようかな〜」
□□□ アサーディン □□□
「あ、あの。私に告白したっていうお話をうかがったんですが」
緊張の面持ちでジュディスはアサーディンに確認した。
「あッ!? いえ、あの……」
誤解だと告げようとすると、彼女はそれを遮った。
「あの、ごめんなさい。アサーディンさんとは、お付き合いできません！」
「は？ いえ、ジュディス様」
「ごめんなさーい！」
乙女全開で走ってくジュディス。呆然としているアサーディンに声がかかった。
「ジュディス様に告白したそうですね」
にこやかに笑うエリザがそこにいた。
「事情はご存知でございますよね？」
「さぁ？ がんばってください、応援していますから。ということは、あなたも今後、ジュディス様を手伝いますの？」
「それより、お屋敷に戻らなくては」
「私もいきますよ。じゃぁ、その後は？」
「ジュディス様の手伝い、でしょうか？」
「道は色々。ゆっくり考えましょうね」
□□□ パール・ハニエル □□□
「正教会へ戻ってきてはくれないかな？」
派遣された司祭は、慎重に言葉を選びながらパールに話しかけた。正教会が彼女たちに行ったことを考えれば、それは当然のことだろう。
「ホントにもどってもいいんですか〜？」
「こちらからお願いしたいのだよ。数々の非礼を詫びよう。今回の戦の功労者として、やってもらいたいこともある」
「……あ、でも」
パールは後を窺い見た。真聖女騎士団の陣が一望できた。すぐそこに、ジュディスがいる。
「いいんだよ、パールちゃん。私は教会を離れるし、みんな、自分で考えて今後のことを決めてるの。あなたも、自分の思うようにしてみて」
「残念ですよ、ジュディス様。しかしパール様にはぜひ、こちらへ来ていただきたい。不自由のないようにいたします」
「だってさ。そりゃ手伝ってもらえたらうれしいけど。私たちと来るなら生活の保障なんてないし……よく考えて、ねっ！」
□□□ シトメツ・ツヴァイ □□□
「異端判定は撤回。しかし、正教会に要請を受ける、ようなことにはならなかったな……なんでだ？」
シトメツはデルテに問い詰めた。だからといって、正教会へ戻りたいのかと問われれば微妙だが……
「さぁ？ 必要とされていない、ということでしょう？」
「ぐっ……お前さんだって同じだろう？」
「辞令が来てないだけですから。お声もかからないあなたとは違いますわ、おほほ」
「大丈夫なのか？」
「……私は、正教会を正そうと思っていた。その目標が、他人の手で果たされてしまった以上……今度はそれを見守っていくのが……多分、私の務めです。あなたは、どうするんですか？」
「……聖女様を手伝うのもいいしな。お前さんを手伝ってみるのも面白いと思っているんだが……」
「任務とはいえ、一時はあなたの命を狙っていたんですよ？ 私は……」
「まぁ、いいじゃねぇかい、な？」
□□□ ミラ・ラグナロフ □□□
「正教会は、ミラさんのことも迎え入れるつもりみたいですけど……？」
「本当？」
「何人か、聖女騎士団の中で呼び出された人も居ます。わ、払は、断っちゃいましたけど……」
「？蛮族の弘に正教会が何用だ？」
「蛮族と正教会の橋渡し役をしてもらいたいとか‥…・」
「うーん。ジュディスはなんで断わったのさ〜？」
「‥…・それは……えーと、正教会でなくても誰かのために戦うことは出来るんじゃないかと、そう、思ったから・…・・」
「いいな、それ。払にも、できるかな？」
「できますよ。絶対。同じ目標を持ってくれる人がいるなら、私もうれしいです。ふふ、戦場が違っても、それはきっと、一緒に戦っているのと同じだと思いますよ」
「そっか‥…でも、蛮族と正教会の梧渡しっていうのも、大役だよなあ」
「あせらずゆっくり、考えましょうよ」
「む−ん、巫女の修行もあるしにや〜」
□□□ ソルト □□□
「それは出来ません。私、今はなにも」
ジュディスはそこで言葉を濁した。
「まだ、悔いているのかな？ 親友を殺したことを……《使徒》を殺したことを？ だから、ここを出ることもかなわない？」
ぱっと顔を上げ、ジュディスはふるふると首を横に振った。
「それは違います……多分。でも、あなたの世界と私の世界は、きっと違うと思う」
「だからこそ、知る意味があると思ったんだけどね……まぁ、そこまで拒否されたら、しょうがない」
「ごめんなさい。あ、あの。もしかしたら、あの時戦えたのは、あなたのおかげかも知れません……なんて、思うんですけど……」
「……ッククク。冗談だろう？ ボクはキミと戦いたかっただけだ。いつか、キミで作った塩を……この手にしてみせるよ……」
彼はジュディスへ突き出した拳の指の間から、白い塩の粒子をすべり落した。
「……ええ、その時は」
『今より強くなって、戻ってくるよ
今よりもっと強くなって、待ってます』
□□□ クルル □□□
『気配感知』が敵の存在を捕らえ、クルルはジュディスにその旨を伝えた。ジュディスは仲間たちに短く指示を下し、自分も前線へ加わった。号令一鳴、街道へ現れた野党に、ジュディスとその仲間たちは不意打ちを仕掛けて、一網打尽にしてしまった。
「今回の功績者、クルル君に！ かんっぱーいっ☆ ささ、飲んで飲んで」
「って、水じゃ雰囲気も出やしないぞ」
「贅沢いってない。お酒はまだまだ飲めませんからね、お互いに」
ジュディスはいたずらっぽく笑った。あれから数年が経つ。ジュディスは、よく笑うようになった。
「クルル〜っ！ ボクのジュディスの隣に座ろうなんて百億年早いですよ！」
「うわぁっ、な、なんだよ！ たまにはいいだろっ！ オマエなんていっつもだし」
「ふたりとも！ 喧嘩しない！ アウグニアス君は嫉妬しない！」
「ジュディス〜！」
「クルル君、いつもありがとね」
そんな感じで月日は経っていく。
□□□ シリウス・ビュー □□□
それは、ジュディスの拠点へ帰る馬車の中――彼女より背が高くなったシリウスは、自分の《魂具：アヴェンジャー》に身を預け、隣に座るジュディスに問い掛けた。
「ジュディス……ずぅううっと前にしたアレの返事を聞かせて欲しいんだけど……」
「あ、う……え、ええとぉ……」
「おまえが好きなのって、アウグニアス？ それとも他の人？ 最悪俺じゃなくてもいいよ、気になる人とかいないのか？」
「あぁ……うぅ、いやぁ、あの」
「はっきりしないから、俺だって……」
「だって。さぁ……」
「『だって』ってなんだ。いってみ〜」
「う、うるさいなぁ〜！ す、好きになって欲しかったら、好きにさせてみなさいよ」
「うわ、すっげぇ棒読み。どこで覚えた、そんな台詞」
「……ナナミんが、フォークトゥーン家に代代伝わる殺し文句だって……」
そんなこんなで時は進んで、シリウスはジュディスと一緒に辺境の英雄になっていったのだが……恋の行方は？
□□□ アウグニアス・バルバリット □□□
「ジュディス〜。今日こそはプロポーズの返事を聞かせてもらいますよ！」
「ま、まだ答えてませんでしたっけ？」
「そうやって、あやふやにするのがあなたの常套手段です。あなたに告白した男性はみんなもうそのことに気づいているのであしからず。いいかげんに答えたらどうですか」
「……」
「ほほう、あやふやの次ぎはだんまりですかそうですか。ですが、今日こそは答えてもらいます、答えさせます、答えなさい！」
「……っぐ」
「ジュディス、断っておきますが、ボクはキミのためを想っていっているのですよ。そんなフェミニストぶりをいつまでも貫けるほどあなたは非魅力的ではない」
「ずっと思っていましたけど、よく恥ずかしげも無くいえますよね、そゆ台詞」
「愛故に〜♪ ……なんです、その目は！ で、答えは!?」
「…………………前向きに……します」
「へ？ すみません、聞き逃しました」
「な!? もういいませんよ!! ぷーっ」
□□□ リコル・ウェムリィ □□□
辺境のある村で、リコルは村人に雇われて戦っていた。野党から人々を守のは苦ではなかったが、問題は助けた女の子に懐かれてしまったことだ。そろそろグランダに帰る用があったのだが、村を出にくくなってしまっていた。
また、その女の子がどこかで見たような顔をしていたのだ。もう何年も前、彼が聖女騎士団にいた頃の記憶が、甦るような…
「グランダへ行くんだよ」
「あたしもいく！」
「遠すぎる。連れていけないよ」
「何でそんなに遠くへ行くの？」
「友達が、結婚式を挙げるんだってさ」
「結婚式っ！あたし知ってる！神様に誓うんでしょ!?あ、でも、リコル前、神様なんていないってた？」
「信じていなかったんだよ。今もいるかはわからないけど…いつか、本当のことを知る時が来る。そう思ってるんだ」
「うーん。ねぇ、グランダに連れてって」
「お母さんに聞いておいで。OK出たら、君を友達に紹介するよ。約束するっ！」
□□□ ジュディスレディ □□□
――こんばんわ〜☆ そろそろ寿命も危ないかも♪ お待ちかねの念話放送、ジュディ〜ズ☆ナイトの時間がやってきたよ〜。今夜はジュディス結婚記念スペシャルだ〜
「相変わらず、飛ばしてるなぁ」
――あ、女装の人！
「いやぁっ！ 念話放送しないで！」
――どこへいっていたんだねこの五年間、ジュディも心配していたわよ――
「そりゃ、うれしいね。で、ボクまだ知らされてないんだけど、ジュディスは誰と結婚するんだって？」
――おっと〜負け犬の遠吠えか〜？
「負け犬もなにも、告白もしてないよ」
――え？ そうなの？ 傷心旅行じゃなかったのね。ふっふっふ。この五年間ＦＣ会長としてワタシ☆が見守ってきたあの子のハートをゲットしたのは〜☆
「ジュディスレディ!? なにを勝手に念話放送してるんですか、木に登ってまで!!」
――だって、視界が取れないんだもの〜☆ ほらシモン君、本人に聞いたら？
「い、いいませんからね！ 私からはっ!!」
P.S.
称号ですが、２１Ｂでジュディスと戦った人は基本的には「辺境の英雄」が付いているようです。
「ソードオブメイデン」はどうやら第６回で恋人候補に「ソードオブメイデン候補」がついていたようです。
候補取れたら恋人なのかな？
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