「ムンスパ」 プラリア 作者：Ｈ★Ｂさん 掲載日：２００１．９．２８
心が前に歩くとき
目の前に広がる光景。惨憺たるものがある。その中央で二人の少女が対峙している。一人は魔将トゥトス、もう一人はわたし。
「…残念だね、貴女には素質が有ったのにね…」
薄笑いを浮かべた表情、わたしは明らかに嫌悪の表情をトゥトスへと向け、飛びかかる。
「…無理だってのに、もう!!」
一瞬後、わたしの胸をトゥトスの腕が貫く。
＊ ＊ ＊
ガバッ!!
「…ハア…ハア…、っく」
−おはようございます。また、ですか？−
「…Feliz、か？」
−はい−
ここのところ数日、殺される夢を見るようになった。この間の戦いでそれほど力の差を感じたわけではないのに。
＊ ＊ ＊
−怖れているんですよ。この戦いのあとに見る自分を…−
「なっ、私がそんな…」
否定的な声をあげる。だが、Felizはそんな私を制して話し続ける。
−表面的にはそれは出ていません。あなたは、この戦いの後にすることを見いだし始めました。しかし、その先に見るであろう自分を、自分に起こりうることを深層的なところで怖れているのですよ−
トゥトスに殺されてしまえば、この戦いに負ければ「それ」を見なくてすむ。その現れが、この、夢…？。だとすると私は本当に…、Felizの言うように、怖れている？
まさか……いや、そうかもしれない。事実まだ自信がない。私はここにいて良いのか、誰かのために行動できるのか…、そう言ったことに対して…。
−大丈夫。あなたはここにいる方々に認められています。だから同じ目的のために一緒になって戦っている。それにエスペランサの時の貴女の優しさは、立派に『誰かのため』になっていますよ−
（…！ ああ、そうか…では、あのときの気持ちが、『誰かのために動きたい』ということなのか…）
＊ ＊ ＊
「…Feliz」
−はい−
「もう一度誰かのために動いてみようと思う、つきあってくれるか」
−もちろんですよ、どこまでもお供します−
「…ありがとう」
＊ ＊ ＊
（…良い表情です。決意とそして自信にあふれた…。これからはその表情を崩さないようにがんばっていきましょう）
【管理人解説】
ムーン・スパイラルでインカのセフィナ・イブリスさんとその守護者フェリスさんのお話です。
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