エタムン・プラリア 作者：ＭＲＺさん 掲載日：２０００．７．１５
アルム・ナート／第４回アクション別紙プラリア
双刃列伝！！
第２話：「仲間の死を超えて！ アリエッタ探索！！」編
written ｂｙ．ＭＲＺ
■第１刃：「想いは１つ！！」
ガンっ！！
銀嵐槍兵、双刃の魔剣士アルム・ナートは、拳を壁に叩きつける。鋭い痛みが走り、血が流れ出る…。
「…！！」
場所は遊郭。ヴィヴィが倒され、アリエッタ・ウインドデイルが消えた場所。そして…。
「（…私は…又、護れなかったのか…）」
ヴィヴィの行動も分かっていた、アリエッタの行動も分かっていた…。なのに、アリエッタを護りきれなかった…。己の無力さに涙すら出る。
「…マコト」
アルムは、地面に墓標のように刺さった一振りの刀を見る。マコト・テンドウ…。アリエッタをギリギリの所で護った男。
「…私は、どうすればいい？」
アルムは呟く…。
「！？」
と…一瞬、刀が光ったように見える。アルムの目の錯覚かもしれない。しかし、アルムの心には再び闘志が湧いてくる。
「…そうだな…こんな所で落ち込んでいたら、貴様に会わせる顔がないな…」
アルムは、拳の血を拭き取る。その顔には、先程の悲壮さはなかった。
「私は最後に、「アリエッタ様を任せる」と言われた…。これで、護りきれなかったら…貴様の死は何の意味もなくなってしまう…」
刀に笑いかけると、アルムはしっかりとした足取りで立ち去る。
「任された以上、想いは２人分だ…。故に、今の私は…２倍強い！」
人は、悲しみを背負って大きくなる。アルムも又、１つ大きくなっていた…。
「…犬死にには、させない…。同じ悲しみは与えない…同じ悲しみは繰り返さない！」
アルムの戦いが再び始まる！
＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊
■第２刃：「アリエッタを探せ！！」
「（…個人の力では、駄目だ！ 今こそ、仲間を信頼し力を合わせる時…！）」
所詮一人の力など知れている。いかに技能やアイテムを使おうが、この広い森を探索しきるのは不可能。ましてや、人一人を見つけるなど…。
アルムは、歩兵部隊の先頭に立つ。
「…いいか！ どんな小さな手がかりでもいい！ 足跡なりなんなり、アリエッタ様の痕跡を慎重に捜せ！ 焦らず、徹底的に…だ！」
そして、アルムも森へと入る…
「く！」
気持ちが焦る！ この広い森の中を探し切れるのか？ そんな不安がよぎるが…今は地道に捜すしかない。騙し絵の靴と軽業で木に登り、上の方も調べていくアルム。
「それにしても、ヴィヴィの言葉が気になる…。これで終わったと思うな…か」
アルム自身は、あれでヴィヴィが死んだとは思っていない。セブンズライフ…七つの命…。その一つを倒しただけなのか…。
「…ヴィヴィの特殊能力は『依代創造』と聞いた…。もし、そうだとすれば…身代わりを何人でも増やせるはず…」
ここで、アルムはふと思いつく！
「！ まさか…ひょっとして、ヴィヴィはアリエッタ様を第二の体にしようとしているのか！？ だとすれば、アリエッタ様を魔族化させようとしていたことも分かる！！」
あくまで想像…。しかし！ 事実とすれば！！
「いけない！！ 早く…早くアリエッタ様を保護しなくては！！」
アルムの心臓が高鳴る！ アリエッタ＝ヴィヴィ…それだけは、避けなくては！！
「！！ なら、ミズホ・オオミも同じなのか！？ アリエッタ様と同じように魔族化を強要されて、防ぎきれなかった…。いや、ヴィヴィ自身がそうなのかもしれない…」
そう、そう考えるとヴィヴィの言動や、人の心の弱さなどについて異様に詳しいのにも説明が付きそうだ。
「だが、どうであれ…！ アリエッタ様の敵であることは間違いない！ 今は一刻も早くアリエッタ様を捜さなければ！」
アルムは、急ぎ足で森を捜す！
数刻探したか…。
ふと、あることを思い出すアルム。
「そうだ…。兄が聞かせてくれていたオルゴールがあったな…。アリエッタ様の耳に届けば、出てきてくれるかも知れない…」
アルムは、兄の形見でもある古ぼけたオルゴールを取り出すと、曲を流し始める。
静かな、美しい心休まるような曲が、森中に木霊する…。
「アリエッタ様…聞こえていたら…出てきて下さい」
広い森の中。たかがオルゴール１つの音がどこまで聞こえるというのか？ しかし、僅かでも可能性がある限り、アルムは諦めない。
「兄さん…マコト…私に力を貸してくれ…」
アルムは、オルゴール片手に森を彷徨う。時々、音に惹かれて魔法生物が襲ってくるが、全て返り討ちにする。歩兵部隊の仲間とともに進む…。
アリエッタが戻ってくれることを信じて…。
＜終わり＞
【管理人紹介】
ＭＲＺ様より頂いたアスターの銀嵐槍兵アルム・ナートさんのプラリア双刃列伝第２話です！
旗頭アリエッタを救おうとするアルムさんの心中がよく分かるお話です。
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