エタムン・プラリア 作者：ＭＲＺさん 掲載日：２０００．７．１５
アルム・ナート／第５回アクション別紙プラリア
双刃列伝！！
第３話：「巫女は闇に…！ そして！！」編
written ｂｙ．ＭＲＺ>
■第１刃：「堕ちる魔剣士！！」
「…もう…疲れた…」
アルフォンソの森で樹によりかかる一人の女性剣士…。普段の鋭い感じも覇気もなく、今は抜け殻のように無防備である。
銀嵐槍兵、双刃の魔剣士アルム・ナート。アリエッタ・ウィンドデイルがヴィヴィ・ザ・セブンスライフに乗っ取られた知らせを受けた直後のことである。
「…気づいていた…。ヴィヴィがアリエッタ様の体を狙っていることに…」
座り込むアルム…。
「なのに…私は…！ 魔族化を狙っている事も、体を乗っ取ろうとしていることも…気づいていたのに…！！ なにも…！」
涙。涙があふれる。
「何も…できなかった！！」
仕方がない…と、言ってしまえばそれまでだが。わかっていて何もできなかった自分を誰が攻めずにいられるのか！？
まして、過去同じ体験をしたアルムにとっては尚のことであった。
「…兄さん…私…駄目だった…何もできなかったよ…」
オルゴールを鳴らしながら、アルムは蹲る。
『同じ悲しみは繰り返さない。同じ悲しみは与えない』
過去。兄の時に何も気づかず、何もできなかったアルムは、この言葉を自分の存在意義として人々を護り続けてきた。そして、アリエッタと出会った。
兄とどことなく似た雰囲気を持つアリエッタに惹かれ、アルムは銀嵐槍兵に入隊。ヴィヴィからアリエッタを護るために戦い続けた…。
今度は兄の時とは違う！ 戦う力を身につけた！ 行動を読む知識を身につけた！
しかし…。戦えても、わかっていても…防げなかった！
「…もう…いいのだ…何もかも…」
アルムの存在意義は根底から崩れ落ちる。そして、堕ちていく。ただただ闇の底に…アリエッタの後を追うように…。
＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊
■第２刃：「誕生！ 闇・双刃の魔剣士！！」
「そうだ…私はアリエッタ様を護らなければ…」
ふと気づいたように立ち上がるアルム。「アリエッタを護る」。そう、それが今の彼女の存在意義になっていた。
「どのように変わっても…アリエッタ様は、アリエッタ様だ…。私は、あの人を護る。どんなことをしてでも…！」
この時、アルムの脳裏に一つの考えが浮かぶ…。しかし、それはアルムの意識の底…忘却の彼方へと消えていく…。
そして、もう一人のアルムが目覚めた。
「…フン。いいだろう！ 所詮は血塗られた道！ 魔の道を行くのも、悪くはない…！」
アルムはアリエッタ（ヴィヴィ）を求めて歩き出す。先ほどの抜け殻とはうって変わって覇気が満ちている。しかし、それは以前のアルムのものとは全く違う覇気である。
まだ鳴っているオルゴールを回収し、先へと進むアルム。
その道は血塗られた魔の道。踏み込めば二度と抜け出せない道。それでもアルムは進む。苦しみどころか歓喜さえ感じながら…。
そう、今のアルムに迷いはない。
「アリエッタ様を護る…。ただそれだけだ…かつての仲間と戦うことになってもな…」
ここに…闇に堕ちた剣士が一人。アリエッタの後を追い魔の道へと踏み出した…。
＜終わり＞
【管理人紹介】
ＭＲＺ様より頂いたアスターの銀嵐槍兵アルム・ナートさんのプラリア双刃列伝第３話です！
闇に堕ちてまで旗頭アリエッタを救おうとするアルムさんの心中がよく分かるお話です。
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